電子契約の電子、というのがなんか胡散臭いのですが、シンプルに契約書は紙、でなくてもいいよね?ということです。
そもそも契約とは
当事者間の合意(約束)であって、当事者間に法律関係(権利義務の関係)を生じさせるもの
です。これは民法に定義されています
第二章 契約
第一節 総則
第一款 契約の成立
(契約の締結及び内容の自由)
第五百二十一条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。
(契約の成立と方式)
第五百二十二条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
契約は基本的に自由です。なんなら口頭でもお互いが承諾すれば成立します。(特別の定めがある場合を除く)
じゃあなぜ契約書があるかというと、もし裁判になったときに言った言わないとならないようにお互いに1部ずつ保有して間違いがないようにしようね、というものです。
さて、これまでの契約書は文章を紙に2部印刷して押印して印紙貼ってそれぞれ保管、というものでした。
電子契約はこれに変わるものです。
契機は2001年に施行された電子署名及び認証業務に関する法律
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102
そのものずばり、電子著名したデータは契約が成立すると推定します。
第三条 電磁的記録であって情報を表すために作成されたもの(公務員が職務上作成したものを除く。)は、当該電磁的記録に記録された情報について本人による電子署名(これを行うために必要な符号及び物件を適正に管理することにより、本人だけが行うことができることとなるものに限る。)が行われているときは、真正に成立したものと推定する。
つまり、これまでの
押印 → 電子著名
印鑑証明 → 電子証明書
契印・割印 → タイムスタンプ
と考えられます。
電子契約と契約書の違い(メリット)
1、物理的な保管が必要ない
紙の管理って意外とバカになりません。鍵付きの保管庫を準備してそこに契約書を放り込んでいきますか?なにかあったときに探すのは大変です。とくに契約書が多い場合は、、、
2、郵送の手間がない
これも手間は大きいです。ミスがあってやり直し、とかになるとため息でますよね
3、やり取りがデータのみ、スムースな契約が可能
ありがちなパターンとしてはメールでのやりとりでしょう。毎回データでやり取りするのであれば差分情報も確認しやすいです
4、対面不要
メールでのやりとりだけで完結する場合が多く、実際に会って契約書の押印、交換などは必要ありません。まぁこれはこれであったほうがいい場合も多いかもしれませんが、普段の業務で数が多い場合はありがたいことになります
5、契約更新の確認漏れが防げる
これは電子契約業者のサービスとしてよくあります。契約期間の終了x日前にメールがきたりするサービスがあります。
6、印紙税が必要ない
地味に大きいです。チリツモです。また、このくらいの契約に4,000円2枚かぁ、と思ったことのある方は同意いただけると思います。
電子契約と契約書の違い(デメリット)
1、電子契約の契約両者の合意が必要
当然ですが、自分たちには便利でも相手方が合意してくれなければ利用できません。この取引先は電子、この取引先は紙、などとなると余計に管理が煩雑になる可能性もあります
2、不動産関連など一部不可
事業用定期借地契約、企業担保権の設定又は変更を目的とする契約、任意後見契約書は公正証書化の義務があるため適用外
3、電子契約サービス業者との契約が(基本的に)必要
一般的に電子契約は専用のサービスを使います。たいてい月額と1通いくらという料金がかかります。
電子契約の注意点
相手方の合意(利用サービス含めて)
相手方にサービス業者と契約書を伝え、合意してもらう必要がありますが、よくわからないと拒否されることもあります。この場合はあきらめて紙の契約書にするしかないでしょう。
電子契約サービスのアカウントの管理が必要
せっかくの契約もサービスのアカウントを紛失してしまえばどうしようもないです。ネットのサービス全般にいえることですが、アカウントはしっかり管理しましょう。管理体制は超重要です。
電子契約サービスはコストがかかる
印紙代はかからなくなるけどサービス業者の料金がかかります。あまり契約をかわさない法人だと、サービスの月額がバカにならない可能性もあります。(ただ、安価なサービスもありますよ)
無権代理により注意が必要
これは電子契約に限らずなのですが、電子契約は対面が必要ないのでとくに注意が必要です。
紙の契約書も同様ですが、著名や記名、押印はあくまで個人です。その個人が代表取締役の場合ならそこまで問題にならないとは思いますが、例えば総務部部長がその法人の購入権限を代理で保有しているかもしれません。
その場合は総務部長の記名、押印でも問題ありません。大きい会社であればすべての契約を代表取締役とした場合、社長の業務が増えて大変です。そうなると下手をすると代表の電子著名を部長が使うなどの悪手に繋がりかねません。理想としては別途代理委任状があるといいですね。
まとめ
契約というのはとても大事な法律行為です。当たり前ですね。
電子契約は管理を減らすという目的はもちろんですが、その契約を責任をもって管理することが可能になると考えます。
現状契約書は完成したら保管庫にポイ、では有りませんか?
自動更新する契約書もちゃんと見直したり、すぐに確認できたり、というメリットはそれなりに大きいと思います。
導入がまだの会社は検討する価値あると思いますよ